演劇「The Firefighters」で主人公リチャードの妻クレア役の琴原なりのさんへのインタビューをお伝えします。
クレアという女性について教えてください。
クレアは、消防士である夫のリチャードと1歳になったばかりの娘キャサリンと暮らす、ごく普通の女性です。リチャードが消防署で隊長を務めていることもあり、他の消防士達に対しては、彼らを元気づける母親のような一面もあるように思います。また、たとえ辛いことがあっても笑顔で周囲と接しようとするクレアは、とても気丈で芯の強い女性であると思います。
「The Firefighters」で好きな場面や台詞はありますか?
好きというか、とても印象的な台詞があります。それは消防士である夫の死に対して「覚悟はできてたわ」というクレアの台詞です。消防士は命懸けで人々を救う、とても尊く素晴らしい職業だと思います。しかしそれを愛する人がやるとなると、普通は大きな葛藤があるのではないでしょうか。誰だって愛する家族に危険な目には遭って欲しくないですし、死と隣り合わせの仕事だなんて本当はして欲しくないはずです。ですがクレアはそれを受け入れました。それは妥協とかでは無くて、本当に夫を心から愛し尊敬していたからこそ、彼が選び誇りを持っていた消防士という仕事を受け入れ、また彼女自身も誇りに思っていたのだと思います。そんな風に自分の不安よりも相手の想いを尊重し、共に生きることを選んだクレアは、女性としてとても素晴らしいと思います。
クレアを演じる上で、大切にしていることはありますか?
実際に消防士の妻や家族として9.11を体験された方はたくさんいらっしゃると思います。その時の不安や悲しみ、そして平和への思いは言葉では言い尽くせないものがあると思います。それらを体験することはできませんが、できるだけその想いを抱いて、毎回舞台に立ちたいと思っています。
またクレアという人物の一番中心にあるのは、私は「夫・リチャードへの愛」であると思います。この物語は2001年と2013年、二つの時を舞台としていますが、その間の事は描かれていません。しかしその間どのようにクレアが生きてきたかは、成長した娘キャサリンの様子からわかる気がします。描かれていない時間のクレアのリチャードへの愛も、ぜひ感じていただけたらと嬉しいです。
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