演劇「マリアの祈り〜ナガサキの奇蹟〜」で、おもと役を演じている星まいかさんのインタビューをお届けします。
おもとについて教えてください。
おもとは、江戸時代の長崎に生きる、隠れキリシタンの女性です。当時は信仰の自由を認められず、また女性が低く見られていた時代だったために、色々と苦しい思いをしていたのではないかと思います。
けれど彼女を救ってくれたのは、マリアさまに祈りを捧げることでした。祈ることで「自分は愛され、生かされている」という事を感じられたのだと思います。
そんな彼女を支えてくれたのは、同じキリシタンの仲間たちでした。皆それぞれに、人生の苦しさや辛さを抱えていましたが、お互いに傷を持っていたからこそ、その痛みが分かり、分かち合うことができたのではないかと思います。厳しい弾圧の中でしたが、そこで生まれた深い絆や愛に、彼女は生かされていたのではないかと感じています。
おもとを演じる上で大切にしていることはありますか?
おもとは、わずか18歳で、自らの生命を賭して、信仰を貫き通します。それは、信仰が彼女にとって最も大切なものであり、自分の命を懸けるに値するものであったからではないかと思います。彼女は何を願っていたのでしょうか。それは、みなが互いを尊重し合い、愛し合って、平和に生きられること。そして女性たちが、与えられた可能性や役割を輝かせて生きられることだったのかもしれません。
劇が進むにつれだんだんとわかってくることですが、彼女は自分が殉教しても、その思いが生き続けることを信じていたのではないかと思います。
彼女が生命をかけて、未来の女性たちに託そうとした思いを大切に感じながら、舞台に立ちたいと思います。
この作品を通して何を伝えたいですか?
現代は女性が自由に生きられる時代になりました。けれど、この作品に登場する江戸、昭和の女性たちの姿を見ると、今を生きる女性として、どう生きるべきなのか、問いかけられているように感じます。長年の迫害を乗り越えて信仰を守り通し、戦争中も平和への祈りを絶やさなかったキリスト教の聖地に、同じ信仰を持つ兄弟たちから、原爆は落されました。そして今なお、民族や宗教、国が違うというだけで、争いが絶えません。はるか昔から、私たちすべてを育んでくれている母なる地球から、「あなた方はこのまま互いを傷つけ合って、滅んでいって良いのですか。」と問いかけられているように思います。母親が自分の子どもを無条件に慈しむ様に、女性たちは愛する子どもや夫や恋人を、愛することをやめません。たとえ傷ついたとしても、愛することをやめません。それは本来女性が持っている力なのではないかと思います。女性たちが自らの力に気づいて、みなで心の手を繋ぎあい、絶えることのない愛と平和の祈りを社会に広げていった時に、この世界を変えていく力となるのではないでしょうか。この作品を通して、皆さまとそのような祈りを分かち合えたら幸せです。
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