あるとき ある国に 爆弾が落とされ
たくさんの人が 死にました
死んだ人は 思いました
「どうか この死を 無駄にしないでほしい」と
肉体を離れて 天国に帰っていった人たちは
地上を見下ろし 衝撃を受けました
〝兄弟姉妹〟たちが 殺し合っているのです
その国には ふたつ前の人生で
家族だった人が住んでいました
その町には ひとつ前の人生で
愛し合った人が住んでいました
生まれ変わりの記憶が 次々とよみがえってきます
「私のかつてのお母さんを 殺さないで」
「私のかつての恋人を 殺さないで」
「これ以上 悲しみをつくらないで」
いくら呼びかけても 地上に届きません
争うことに夢中すぎて 誰も目を醒まさないのです
地上で繰り広げられる〝正義の戦い〟は
まるで 地獄絵図のようでした
それはまさに かつての自分たちの姿でした
しかし 肉体がないというのは なんと無力なのでしょう
思いを送っても それは
荒れ狂う黒い海原(うなばら)の波間に
ただただ かき消されていくだけでした
この連鎖を止める方法は ただ一つだと悟りました
自分たちが 変えるのです
そう もう一度 地上に生まれた あかつきには
あるとき ある国に 爆弾が落とされ
たくさんの人が 死にました
そうして その星の人びとは
愛と信頼 平和を 手に入れました
なぜだと 思いますか
揺るぎない決意をもって 生まれた人がいたからです
一人ではなく たくさん
たくさんの思いと行動が
幾度となく繰り返してきた歴史を 変えたからです
この星が すべてを生かし 育み続けるように
この星と この星に生きる人すべてが 一体となって
互いを生かし 成長し合えるように
その星の向かう先を見つめ 舵を切ったのでした
いまや地球に国境はなく
その星は 皆がすまう
一つの故郷・home(ホーム)となりました
皆が ひとつの大きな家族のようでした
でも それは ゴールではありませんでした
新たな物語の はじまりでした
それは 地球という名の宇宙船の 船出の日だったのです
その 美しい青い船の輝かしい門出を
いつも変わることなく 星々を照らし続ける太陽が
祝福の光で 照らし出しました