演劇「再会 REUNITED 〜ヒロシマの誓い〜」


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あらすじ

しげるは広島に生まれ育った少年。その頃、日本はよその国と戦争をしていた。姉の泰子は女学生だが、学徒動員として軍需工場で働いていた。そんな姉弟を優しく見守る母。暮らしはけっして豊かではなかったが、母子三人、幸せな毎日だった。

ある夏の朝、しげるは、姉のところへお弁当を届けに行くため、母と一緒に出かけた。産業奨励館の前に来たとき、母は言った。

「ここで待っときんさいよ。絶対にここを動いちゃいけんよ」

「うん。お母ちゃん、はよう戻ってきてよ!」

しげるは母の言いつけを守った。

そして、1945年8月6日午前8時15分。運命のときが訪れた―――。


作品について

母と子の絆

口げんかをしながらも、互いを思いやり合う姉と弟。
そんな子供たちをやさしく見守る母親。
それはどこにでもある平凡な家族の姿なのかもしれません。
「ここから動いてはいけない」
大好きな母の言いつけを守って、じっとその場にとどまり、母の帰りを待ち続けた少年。
それは母親ならば、誰もが口にするであろう言葉。
しかし、その一言は母の心に深い後悔の念を残すのでした。


核兵器の悲惨さ

人類史上、初めて人類の上に落とされた原子爆弾がどれほど残酷で悲惨なものであったかを知らない人はいないでしょう。
何十万人もの人々の命が、一瞬にして奪われました。
確かにその苦しみは想像を絶するものであったかもしれないけれど、天国という世界があるならば、亡くなられた方たちはその苦しみから解放されて、天国で安らかに暮らしているだろう、と思われるかもしれません。
しかし、もし、核兵器の威力によって、天国への道が閉ざされていたとしたら・・・。
その苦しみは、今なお続いているのかもしれないのです。


戦争反対と叫ぶことよりも

私たちが伝えたいことは、ただ声高に「戦争反対」と叫ぶことではありません。
命を脅かされることなく、愛する家族とともに、ただ平穏に暮らすこと。
それは世界中のすべての人々に共通するささやかな願いではないでしょうか。
その共通の思いに気づいていただきたい。
そうすれば、互いを傷つけ合う戦争など、きっとなくなっていくはずです。
憎しみや怒りではなく、平和への祈りを。
それが私たちが伝えたいメッセージです。